ゆるゆるり

いろんなオタクを反復横跳び

配信thrill meを見た(成河私 × 福士彼)

 

前々からとんでもない舞台があるとは聞いていたけど、まあとんでもなかった。thrill me。

 

元はと言えば「ここは今から倫理です。」を見て成河さんが気になり、福士誠治とセットならハッピーセットみたいなもんじゃん(?)と一秒たりとも迷わずチケットを取ったスリルミー。それが緊急事態宣言で生観劇に至らず、咽び泣いていたところに配信の決定。悔しいけど見られたことには感謝。

 

ネタバレわりと平気な人間なので、なんとなくぼやっとどういう話なのかつかんでから見たはずだったのにしっかりとしんどかった。

 

以下がっつりネタバレあり感想。

オタクはすぐ感想垂れ流したくなるんだよなァ。

ちなみに配信を一回見た記憶を頼りに書いているので、シーンが前後してたり台詞が違ったりと諸々あります。ご注意を。

 

 

 

釈放の審議のシーン。現在の私から当時の私へ。風貌も雰囲気も声色も分かりやすく変化する。すでに只者じゃない成河私。

彼の登場シーン。自分から離れたはずの彼がなんで再び私と出会ってしまうのか。スリルの共有者は彼が超人だと認める私とが良かったのか。その算段甘いよ彼、とはそのときはまだ。

彼に抱きしめられて分かりやすくときめいた顔をする私、かわいい。ここらへんは素直にかわいい。

福士彼すっげぇ怖いんだよな。人間味がないというか。微塵も愛情もなんも感じない。私のこと自分のスリルを満たすための都合の良い道具としか思ってなさそう。なんかうるさいからキスでもしとくか、みたいなそんな感じ。スタイルいいし、顔もいいからバチバチにかっこいいんだけどさ。

彼についても私についてもバックグラウンドについて語られるわけではないから、頭が良くて、顔も良くて、金持ちのもとに生まれた彼がどうしてこんなに歪んでしまったのか。憎んでいる弟と父との関係から歪んでしまったんだろうなというおそらくの推測はできるけれど。頭もよかったからこそ、世の中がバカバカしく見えて、背徳感を覚えるようなスリルを求めることで"生"を感じていたんだろうか、彼は。

私にそっけない態度をとったり、ものを取ろうとした私に投げ捨てたり。ここらへんはなんてやつだ彼は、私が好意を持ってるからって自分の都合のいいように私を弄んで、もう!みたいに思ってました。微塵の愛情も感じないから余計に。ご褒美(?)おねだりするシーン。はらりスーツ脱いでいくのセクシーだったな。(突然偏差値2の感想)

契約書のシーン。私<彼だったパワーバランスが終盤につれ、私>彼になるのがスリルミーだと思ったんだけど、私=彼に近づいていくのがこのシーン。というか、ここから私の計画は着々と進んでいるんだから怖い。

彼が殺人を思いつくシーン。戦々恐々としていたこのときの私。私こそ真っ当な人間だと印象付けるこのシーン。彼が弟を殺そうと言い出して、なんとかしてそれをやめさせる私。少年殺しには最終的に首を縦に振ったのに、なぜ弟殺しにはあんなに反対したのか。①弟を殺せば彼がすぐに疑われる、この時点では彼が殺人行為によって犯罪者になってほしくなかった②私と彼との媒介になってくれる弟が消えてしまうことは私にとって都合が悪かった と考察してみたけど。彼の殺人相手を考えるときの「ムカつく奴」私「…ボク?」彼「お前…意外で」お前…でシュンとする私。あざといぞー私ー。

スポーツカーの彼、皮肉にも一番魅力的で優しい顔してるんだよな。福士彼あんなにいい人間の顔できるんじゃねぇか。むしろ冒頭で語られていた遊んでいた女たちや友人たちに向けていた彼はこんな彼なんだろう。胡散臭そうだけど。

犯罪に加担して震える私。ここから転がる様に堕ちていく。結末が分かってるとその様が滑稽。声を荒げる彼に内心私はどう思っていたんだろう。そうそう余裕ぶっていればいいとほくそ笑んでたのだろうか。落ちていた眼鏡が私のものだと分かり、警察から聴取を受ける私。彼に言われた通り行きずりの女と一晩過ごしたと答えるが、殺害した子どもの死体が発見され、身元も判明してしまう。

「お前が眼鏡を落としたからだろう?俺には関係ない。」彼は、私が彼を売らないと絶対的な自信があったんだろうか。出頭するという私に対してもそっけない態度。そこはアメでもあげればいいのに、なんて思いながら見てた。私の証言によって、勾留される彼。多分このシーンだったと思うけど福士彼の横顔アップシーン良。優秀な弁護士をつければ!と意気揚々と語る自信過剰な彼。いくら福士誠治でもいけすかねえな彼。

「死にたくない」のシーンやっと人間味のあるというか、感情の綻びが見える彼。見てるこっちとしては自業自得だよ彼、って感じ。19歳の彼は、心底自分のことをニーチェの云う"超人"と信じてやまなかったんだろうと思うとなんか哀れだけれど。

護送者のシーン。死刑を免がれたことでいつもの調子の良さを取り戻す彼。ここからの私のターンの恐ろしいこと。すべては私の掌中。にこり、嬉しそうに彼に勝ったことを話しはじめる私。ずっと蔑ろにされていても、ずっと彼のそばにいたのは、どんな形であれ彼のそばにいたかったからで。彼の傲慢な態度や今までのあれこれの計画、満足できずにエスカレートする彼のスリル。私はずっとそんな彼を見てほくそ笑んでたんじゃないか。こうすれば彼は喜んで、こうすれば彼はこんなふうに動いて、こうすれば彼は私のものになって、そんなふうに道化師を演じていた。そもそも、「彼と一緒に死ねるならそれはそれでいい」なんて言える私に彼は勝てるはずなんかない。彼>私のパワーバランスがこのとき、彼<私になるのが私が詰め寄って引く彼という視覚的にも現れていて面白い。こういう狂気をはらんだ成河さん魅力的すぎて精神すり減る。

彼が獄中で死んだことを私は淡々と語っていたけれど、こうして手に入れた彼を失った私はどうして生きていたんだろう。現在の私のやつれ具合からある程度は想像できるけど、私の人生も彼の人生もいったいなんなのか。

 

 

とってもとってもヘビーで、倫理観とか諸々考えさせられる作品だった〜。劇場で見るともっとハラハラしたんだろうなと思うと悔しいけど、成河×福士のスリルミーが見られたのはとってもいい財産になった!奥深い!舞台!